Thursday, July 06, 2006

「船も運命共同体」(2006/07/06)
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奥様が逝かれて一ヶ月と一週間。 お取り込みの間はご親戚や友人の往来もせわしかったでしょうが、今は人の波も潮のように引いて、幾分静かになられたでしょうか。

私は30年以上前、イギリスからカナダに渡る時、船で一ヶ月旅したのですが、船中でいつも同じ食卓を囲んだ一人の老紳士がいました。 背丈は私と同じくらい。 その時は私よりかなり年長者だと思ったのですが、今考えれば、現在の我々よりも若かったのかもしれません。 奥さんを亡くされての独り旅でしたが、1500人の乗客の中には、そういうイギリス人の鰥夫も結構居ました。

或る晩食事の後で、部屋に招じられたのですが、船室のドアを開けながら、「妻に会ってください」と言われます。 部屋には、奥さんの大きな額入りの写真がありました。 「私が部屋に帰ってくると、ああして、いつも笑顔で迎えてくれるのですよ」と言います。 私は感動の胸を抑えることができませんでした。

その船は、3ヵ月かかって世界を一周するクルーズでしたが、その人は奥さんと死に別れてから、毎年クルーズに独りで参加していると言っていました。 乗客の殆んどは高年のイギリス人の男女でしたが、独身の人が多く、皆さん似たような運命で同じ船に乗り合わせたのかもしれません。 30年前の初老のイギリス人というと、特に男性は、渋い魅力の人が多かったように思うのですが、今はどうでしょうか。 私達と初めて出会っても「外国人」という表情はついぞ見せませんでした。

私も、船の旅、鉄道の旅、運河の旅と振り返ってみると、途中の観光地とか食事よりも、行きずりの人達との触れ合いがいつまでも記憶に蘇ってくるように思います。

このバンクーバーからも、アラスカやハワイ、パナマ方面に向けて、クルース船がいつも夕方出航しています。 往復一週間ぐらいのスケジュールのようですが、遠くから飛行機で飛んできて乗り込む観光客が多く、暫し憂き世を離れる楽しみに人気があります。 私達はまだ乗ったことがありません。

(06/07/06)

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